メタバース会議を仕事で活かす方向性について

 メタバースという仮想空間を仕事の中でどう活かしていくのか?まだイメージできていない、との声をよく聴きます。そりゃ、新しい技術なのでまだ定番の使い方が確立しているとは言えませんよね。そのため、仕事の中でメタバース会議をどんな使い方ができるのか、少しずつ紐解いていきたいと思います。

 まずはメタバース会議の特徴を整理して、リアル会議との違いを明らかにしたうえで、その強みを生かす使い方を考えていきましょう。

メタバース会議の特徴について

リアル会議と比較したメタバースの特徴は以下の3つと言えるでしょう。

【メタバース会議の3つの特徴】
特徴1:どこにいても参加できる
特徴2:別場所なのにリアル感が高い
特徴3:いつものパソコンを持ち込める

それではこの3つの特徴について、もう少し詳しく補足説明を加えていきます。

特徴1:どこにいても参加できる

 事務所にいても、自宅にいても、たとえ喫茶店(さすがに周囲のヒトにVRゴーグル姿をさらすのは恥ずかしいですが、苦笑)にいても、同じ景色や環境の中で身を置いて仕事ができるのがメタバース会議の大きな特徴です。
 これがリアル会議ですと、同じ場所に交通費と時間(=コスト)をかけて移動する必要があります。しかしメタバース会議なら、今いる場所に関わらず一瞬で集まれます。それって本当にすごいことですよね。
 まるで『どこでもドア』のように行きたい場所にすぐ行けます。ただし、行先は仮想空間なんですけどね。これが最初のリアル会議と比べたメタバース会議の大きな特徴です。

特徴2:別場所なのにリアル感が高い

 そして次に挙げるべき特徴は、別場所なのに本当にそこにいるかのようなリアル感が、半端ないほど高いということ。これはもう最先端技術の組合せによって実現されています。
 まずは①高解像度を誇る視覚のリアリティ、②全方位型の音声出力装置によるリアリティ、そしてそれを後押しする③通信速度の高速化によるリアリティです。それぞれもう少し補足してみましょう。

①高解像度を誇る視覚のリアリティ

 たとえば現時点でもっとも売れているVRゴーグルであるQuest2ですと、1832 x 1920 画素(ピクセル)の画像が左右独立して動いています。フルハイビジョンが1920×1080画素ですからほぼ2倍ですよね。これが左右それぞれ見せてくれて立体的にしてくれるわけですからそりゃ視覚的にリアリティは高くなってきます。

②全方位型の音声出力装置によるリアリティ

 そして視覚に加えて聴覚も全方位型の音声出力装置が採用されています。いわゆるフルポジショナルオーディオというシステムで、まぁ映画館でいうドルビーやサラウンドみたいなものですね。つまり後ろから話しかければ後ろから聞こえるし、右から話しかければ右から聞こえます。そのため、話している相手の方向から音が聞こえてくるので、すぐそこにいるような感覚になってきます。

③通信速度の高速化によるリアリティ

 いくら視覚的、聴覚的にリアリティが高くても音が遅れて届くのなら、ちょっと違和感を覚えますよね。たとえばテレビ中継で、場所的に遠いところで数秒の間が生まれて、会話のタイミングが変になるのを見ることがありますが、あれって自分が当事者なら相当やりづらいものです。
 なので5GやWi-Fi6などの高速通信技術が高まっていることも、リアリティを高める大きな要素になっています

特徴3:いつものパソコンを持ち込める

 最後の特徴は、いつものパソコンを仮想世界の中に持ち込めることです。たとえば、出張先であったとしても、いつも使っているノートパソコンを仮想世界の中に取り込んで、それをそのまま操作するこが可能なんです。なので、会議で必要になったら自分が持っている情報を見せながらディスカッションすることも、なんなら議論しながら一緒に資料作成していくことも可能になるわけです。すごい世界になったものですね。

メタバース会議の3つの活用事例

 場所が離れいても一瞬で集まれて、まるで本当に集まっている感が強くて、しかも自分のパソコンを使い放題だとすると、いったいどんな使い道が考えられるでしょうか?その実際の活用事例を紹介していきましょう。

【メタバース会議の3つの活用事例】
事例1:将来方針を決定するメタバース会議
事例2:問題解決策を考えるメタバース会議
事例3:資料を共同作成するメタバース会議

事例1:将来方針を決定するメタバース会議

 まず最初の事例は将来方針を決定するためのメタバース会議です。本来、リアルで集まって議論を尽くすべき重要な会議ですが、実際にはキーマンは忙しすぎてなかなかリアルで集合できる機会って月に1回あったらいいくらいじゃないでしょうか?
 日や時間を決めていても、重要な問題が起こってその解決を優先したり、お客様から呼び出されたりなどで欠席してしまう、なんてことが起きます。そうなったら重要な方針を決める会議なんて、開催するのが難しいのが現状ではないでしょうか?
 これって本当に危険で、一部の上層部が決めた方針ってトップダウンパワーだけで、結局部下は自分で考えたわけではないので積極的に行動しないのが世の常なんですよね。そこでメタバース会議の活用なんです。
 市場の動向、お客さまの声、競合の動き、自社の理念などの関連情報を整理しながら共有したうえで、数年後のあるべき姿=ゴールを設定する。そしてそのゴール達成と現状とのギャップを問題点と置き、その解決のためのシナリオ=戦略を一緒に検討する。そうすることではじめて、自分達がやるべき仕事や役割分担、優先順位などがバチっと合ってくるはずです。
 同じゴールをそれぞれの立場で一緒に狙っていく体制づくりが、事業運営にとって何より重要となります。
 

事例2:問題解決策を考えるメタバース会議

 仕事をしていれば問題は起こります。本当はそうなってなければいけない状態=ゴールに至っていないことを問題と呼びます。しかし正直、その解決策というのは正解が最初からわかっていることは少ないのです。だからこそ、多くの視点と思考力をかき集めて、仮説×検証を繰り返して正解を見つけ出す必要があります。
 まずは問題を定義し、その問題を引き起こしている要因を全員の脳みそを使って考えられるだけすべてを並べてみます。そしてその並べた要因の中から、もっともその問題を引き起こしているだろう上位3つを主要因として仮設定。その主要因を解決できるだろう策をこれまた全員で考えられるだけ考えて並べて、有効そうな3つを実行してみる。そうやって効果があるものだけを残し、改善できるまでこれを繰り返します。
 このプロセスをメタバース会議で場所を越えて実行することで、問題解決を進めていける組織的な仕組みの構築を実現することが可能です。

事例3:資料を共同作成するメタバース会議

 最後は資料を共同作成するメタバース会議の開催です。営業会議や新商品開発に関する会議など、ただの現状報告で終わっているか会議は多いと思います。けれどその進め方はどちらからというと、それぞれが実施したことを報告するだけってのがほとんど。それって生産性がないですよね。
 そのためメタバース会議の中で最終的な議事録を作成するフォーマットを主催者のパソコンから共有し、その資料を一緒に作成する進め方で会議を進めます。たとえば以下の書式を提示するとします。

【〇〇月度 〇〇会議議事録】
1.日時
 令和〇年〇〇月〇〇日(〇) 〇〇時〇〇分~〇〇時〇〇分
2.場所
 メタバース会議室
3.議事内容
(1)部門別情報共有
(2)課題の整理
(3)今後の対策
4,次回の開催日時・場所

 これであれば部門別の報告内容を整理しながら、最終的に課題を整理し、対策を決めることが最終ゴールだとして伝達可能となります。これらの内容を埋めて完成させるために集まっている、という共通認識が伝われば、最終的に今後の対策をまとめようと、参加者全員が考えるはずですよね。また時間を決めておけばタイムコントロールも取りやすくなります。
 

メタバース会議を仕事で活かす方向性まとめ

 いかがだったでしょうか?メタバース会議の活用事例を3つ示しましたが、これらは典型であっていろいろ会社によって最適なカタチが違って当たり前ですよね。なので、あなたも実際にメタバース会議を開催してみながら、試行錯誤してベターなやり方を見つけてみてください。

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